月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
もしそうだとしたら、私、なんでこんなところに来てしまったんだろう。

この国にとって、未来の女王様の方が、大事に決まっているのに。

ジャラールさんにとっても、好きな人の方が大事なのに。

私とネシャートさん。

比べる訳もなく、ネシャートさんの方が、大事なのに。


胸が痛い。

私は、この世界にいらない。


「クレハ?」

ジャラールさんに優しく名前を呼ばれると、我慢していた涙がボロボロ溢れた。

「ごめんなさい。私がこの世界に来てしまった為に、ネシャートさんの病気が治らなくて。」

後から後から流れる涙を、ずっと拭き続ける。

「私、この世界に来なければよかった……」


するとジャラールさんは、私を自分の隣に座らせた。

「涙を拭いて、クレハ。誰もそんな事思ってはいない。」

「だって……」

「少なくても俺とハーキムは、クレハが来てくれてよかったと思っている。一緒に旅している時からそう思っていた。」
< 194 / 300 >

この作品をシェア

pagetop