月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「番人が来る音だ。クレハ、近くに隠れていろ。」

「うん。」

私はハーキムさんに言われ、隠れ階段の中に、身を潜めた。


やがてガチャガチャと音を立てて、番人がやってきた。

「ハーキム。明日の朝、仮釈放だ。」

「はい。」

「朝、鍵を開けるまで、大人しくしていろ。」

ハーキムさんは、番人に言われても、そのままじっと見つめ続ける。

「おい。聞いているのか?」

番人が苛ついて、顔を近づけた。

「ああ。」

しばらく顔を合わせていたけれど、番人は舌打ちをして戻って行った。


「クレハ。もういいぞ。」

ハーキムさんに声をかけられ、階段の入口から出た。

「やれやれ。」

そう言いながら、ハーキムさんも牢屋の外へ。

「ええ?いつの間に鍵を?」

「簡単だ。あちらから近づいて来てくれたんだからな。」


もしかして、番人がハーキムさんとにらめっこしているうちに!?

う〜ん。

ハーキムさん、侮れない。
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