月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
ネシャートさんも同じ事を言っていた。

けれどジャラールさんだけは、静かに目の前の事実を受け止めている。


「ハーキムさん。私は、ラナーに直接聞いてみようと思うの。」

「よせ。」

「どうして!?」

「あの者は余計な事は話さない。そう育てられた。」

「そんな!!」

「未来の国王に仕える身だ。必要な心構えだ。」

私は右手を固く、握りしめた。

やっぱり私の考えは、甘かったんだろうか。

ラナーとは今日初めて会ったと言うのに、お気に入りの衣装を貸して貰えたからと言って、心を開いてくれるなんて。


「クレハ。その代わり俺が行く。」

「ハーキムさんが?そこを出られるの?」

「いや、今のままでは鍵が掛けられていて無理だ。」

「どうするの?」

するとハーキムさんは、私に手招きをした。

「もう少しで、番人がここを通る。その時に、鍵を拝借する。」

「えっ!?」

そして遠くから、ガチャンガチャンと音が鳴り出した。
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