月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
ゆっくり目を開けると、そこは社員旅行で泊まっていた旅館だった。

「紅葉?」

ときわが私の顔を、覗きこむ。

「と、き……わ?」

「紅葉~!!」

寝ている私に、ときわが抱きついた。


「おかえり。」

その隣には、光清が座っていた。

「二人供、ずっと側にいてくれたの?」

「当たり前だろ。」

二人はそう言ってくれたけど、結構長い時間かかったと思うよ。

私は時間を見る為に、ちらっと時計を見た。

もう、朝だ。

「一晩……」

「えっ?なに?紅葉?」

「一晩、だったんだね。あっちの世界に行ってた時間。」

まるで、長い時を思い出すように、物思いに更ける私を見て、ときわと光清は顔を合わせた。

「あっちは、一晩じゃなかったの?」

ときわが、恐る恐る聞いてきた。

「二日ぐらいかな。」

「へ、へえ~……時間の流れは、一緒じゃないのね。」

ときわは、私と光清両方気を使っている。
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