月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
尚も黙りを決め込むハーキムさん。

結構話してくれる人だと思ったのに、検討違いだったみたい。

「この先のオワシスに行くって、ジャラールさん言ってましたけど、そこに何があるんですか?」

「うるさい女だ。さっきから黙っていれば、次から次へと質問攻めか?」


うるさい女と言われ、質問はシャットアウト。

しばらくは何も聞かない事にした。


「ハーキム。あそこだ。」

ジャラールさんに言われた場所に、ハーキムさんは向かう。

砂の壁。

所々、穴が開いてて、それが窓のように見えた。


「あれは何?」

「昔の要塞だ。まだここにオワシスがあった頃のな。」

「オワシス?この近くに湖があったの?」

「湖どころか、小さな国があった。あの要塞は、その時の支配者の宮殿でもあった。」

「宮殿?あれが?」

「昔の話だ。」

うるさいと言ったくせに、ハーキムさんはそんな質問には答えるんだと、改めて納得。
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