月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
要するに答えちゃまずい質問には、答えないってヤツなんだ。

そして壁の宮殿に着いて、余計にびっくり。

遠くから壁にしか見えなかった宮殿は、まさに砂漠の中に立つお城、その物だった。

外からは見えないが、家壁に施されている、様々な装飾品の跡。

かつてここが、王族が住んでいた場所だと言うことに納得できた。

ただし、今は壁が崩れて、ようやく雨風が凌げるくらいの場所しか残っていないけど。


「ここで暖をとろう。」

ジャラールさんが、近くにラクダを繋げた。

「はい。暖を取れそうな物を探して来ます。」

ハーキムさんは、私をラクダから降ろすと、どこかへ行ってしまった。


「クレハ。疲れてはいないか?」

「はい。」

何回な軽く頷いたジャラールさんは、近くにしゃがみ込むと、持っていたナイフで、穴を掘り始めた。

「何してるんですか?」

「暖を取る準備だ。少し穴を掘っておくと、火がつきやすいんだ。」
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