月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「じゃあ、ジャラールさんは?」

「私か?」

ジャラールさんは、寂しそうに微笑んだ後、こう言った。

「私の名は、大したものではない。」

名前にそんな事あるのかなと思ったけれど、ジャラールさんがあまりにも寂しそうだったから、それ以上は追及しないようにした。


「それよりも、もっと日本の事を聞かせてくれ。」

そう言ったジャラールさんの顔に、少しだけ笑顔が戻ったから、ここぞとばかりに日本の事を話して、その笑顔を絶やさぬようにした。

その成果が実ったのか、ジャラールさんとハーキムさんは、終始笑顔。

私は夢の中で、更に夢のような時間を過ごした。


しばらくして、ハーキムさんがウトウトし始めた。

「そろそろ休もうか。」

ジャラールさんのその一言で、ハーキムさんが目を覚ました。

「はい。」

返事をしたハーキムさんは、近くにあった木を、火の中に投げ入れた。

「ハーキム、先に休め。」

「いえ、私は起きてます。ジャラール様がお休み下さい。」
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