替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「なんだって!?
それじゃあ、追われてたのはあんたじゃなくて、サキだったっていうのか?」

「そうなんだ。
追っ手と直接話したんだから、間違いない。」

「でも、なんで?
なんで、サキが追われなきゃならないんだ?」

「それは私にもわからない。
だが、追っ手はサキのことを『あの方』と言った。それも少し引っかかっている。」



(『あの方』だと?)



サキは自分は侍女だと言った。
だが、侍女をそんな風に呼ぶのはおかしい。



「追っ手にはサキはガザンに行ったと嘘を吐き、私は君達を追い、ソロルの町へ向かった。
君はそこで親友のアンセルという人に会うと言ってたよな。
だから、アンセルさんの家を訪ねたら、君とサキらしい人がアンセルさんに会いにリゴレットに行ったと聞き、私は慌ててここに向かった。
サキを追ってた奴らは、どうやらリゴレットの者らしいんだ。」

「なんだって!?」



(リゴレットの者たちがなぜサキを追うんだ…?
それに、考えてみればここに来てからおかしなことばかりだ。
関所の番人は、そもそも、なぜ、サキを城に連れて行った?
しかも、なぜ、サキは王女の部屋に連れて行かれたんだ…?
俺を紹介した後もサキは出てこなかったし…)



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