替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「そうですか…舞踏会が開かれるのですね…」

そう言った時のシャルアさんの顔は、どこか悲しげなものに見えた。



その気持ちもわからないことはない。
舞踏会は、シャルアさんの快気祝いのようなもの。
だけど、本物のシャルアさんは少しも元気にはなられていない。
それどころか、シャルアさんは、日々、死に近付いているのだから…



(辛いよね……)



考えてみれば、替え玉となった私はシャルアさんのものを全部横取りしているような気がする。
ドレスだってそうだし、みんなの前ではレベッカさんは私の侍女ということになってるし、王女という地位も、何もかも私がもらってしまってる。
しかも、シャルアさんは死んでしまう前に隠し部屋に姿を隠し、その存在はすでにこの世から抹消された。



いくら自分で選んだ道とはいえ、なんと過酷な道なんだろう…
私だったら、そんな状況に耐えられるだろうか?



「シャキア…どうかしましたか?」

「え?い、いえ…別に……」



良いのかな?
本当に、今やってることは正しいことなのかな?
他に、何か手はないんだろうか?
シャルアさんが救われるような方法が……

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