替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
舞踏会は二ヶ月後に決まった。
無理はしなくて良いけど、もし踊れるようなら一曲で良いから踊りなさいと、陛下に言われた。
もちろん、踊りますとも!
実は体調はバッチリだし。
ただ、自信はないけど。



隠し部屋では、サンドラさんが魔法の人形を作って、それに相手をしてもらってた。
人形だから、足を踏んでも文句は言わなかったけど、生身の人間だとそうはいかない。



(大丈夫かなぁ?)



心配だったから、ダンスの練習も始めた。
みんな、とても私の体調を気遣ってくれて、ほんの少し踊ったら、すぐに休憩。
だから、なかなかはかどらない。
でも、あまり急に元気になったと思われても困るから、焦らずにやっていくしかない。



シャルアさんは、以前はダンスが得意だったらしい。
隠し部屋にいた頃、私が、ダンスは今まで一度も踊ったことがなくて、今、特訓してるって言ったら...寝室で踊って見せてって頼まれたこともあった。



シャルアさん、人形と踊る私を見て、微笑んでたっけ...



辛いだろうな。
シャルアさんは、やりたいことがあっても何も出来ないんだから。



あ、そうだ!
サンドラさんに舞踏会が見られるように出来ないか、頼んでみよう。
せめて、見るだけでも出来れば、シャルアさんも少しは気が晴れるかもしれないから。
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