替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする

「やはりそうじゃったんじゃな。」

「はい、それで…さっきの質問ですが、おばあさんはどうしてこの地図を…？」

「わしは、昔、ガザンの城で働いていた。
剣に魔法をかけた魔法使いのひとりじゃ。」

「そうだったんですか！
では、もしかして、ここに剣を隠したのもおばあさんなんですか？」

「まぁ、そういうことじゃ。
一緒に城で働いておった五人の魔法使いのみが知っている…
スークレイは死んでしまったから、今は四人じゃが…
でも、まさか、ガザンの末裔がわしを訪ねて来ようとは…
これこそが、運命というものなのかもしれぬな。」



私がもしかしたら王女というのも信じられないけれど、まさかマリウスさんも王族かもしれないなんて…
そんな偶然ってあるのかな？
やっぱりまだ私にも信じられないような気がした。



「剣はどこにあるんだ？」

「クローブ王国の山の中の洞窟らしい。」

「クローブっていうのはどこにあるんだ？」

「ガザンの隣の国だ。
魔法使いが多いことで知られている。」

おばあさんはマリウスさんの言葉に頷いた。



「その通り。
じゃから、わしたちはクローブに隠したんじゃ。
盗賊共はそんな価値のないものは狙わんじゃろうが、とはいえ、ガザンの王家にとってはとても価値のある代物だ。
じゃから、出来るだけ狙われにくい場所に隠したのじゃ。
洞窟に行くには、魔法をかけた森を通らなくてはならない。。
一度足を踏み入れたら、二度と出られない魔の森じゃ。
森全体に魔法をかける時には、クローブの魔法使い達にも手伝ってもらった。
おそらく百人はおったと思うぞ。」



おばあさんの言葉に、私は驚き過ぎて何も言えなかった。
だって、魔法使いが百人も集まって魔法をかけるなんて、まさに、童話！まさに、ファンタジー！
話がぶっ飛びすぎてて、とてもついていけない。