大天使に聖なる口づけを
母も思い詰めたように、翠色の大きな瞳に涙をいっぱいに溜めながら、エミリアの顔をじっと見つめていた。
「『血筋』よ……我が家の血筋は、必ずミカエルの血筋に惹かれる……それはもう、何十代も前の先祖からずっとそうなの……だから……」
「私ならミカエルに恋するかもしれないってわけ?」
思わず突き放すような言い方になってしまったと、エミリアが後悔した時にはもう遅かった。
母の大きな瞳から真珠のような涙が零れ落ちる。
「だってそれは絶対にそうなのよ……」
しまったと思いながら、椅子から腰を浮かすエミリアに、隣に座るアウレディオが射るような視線を投げてくる。
(わかってるわよ……私だって泣かすつもりなんてなかったんだから……)
「お母さん……」
何と言って慰めたらいいのだろう。
困りきっているエミリアに、母は思わず誰でも抱き締めてしまいたくなるような、儚げな泣き顔を向ける。
「ごめんね、エミリア……でも他に方法がなくって……」
「う……うん……」
天使の泣き顔と、アウレディオの非難の視線に挟まれ、エミリアは窮地に立たされていた。
必ずしも本意ではない言葉が、思わず口から出てくる。
「わかった……私、協力するから……」
先に手伝うと宣言してしまった手前、どうせ今さら断ることもできない。
それは、一度約束したことは守りとおすというエミリアの信条に反する。
(結局、やるしかないんだから!)
半ば諦め気味に目を閉じたエミリアに、
「エミリア!」
案の定、母が泣きながら駆け寄ってきた。
「『血筋』よ……我が家の血筋は、必ずミカエルの血筋に惹かれる……それはもう、何十代も前の先祖からずっとそうなの……だから……」
「私ならミカエルに恋するかもしれないってわけ?」
思わず突き放すような言い方になってしまったと、エミリアが後悔した時にはもう遅かった。
母の大きな瞳から真珠のような涙が零れ落ちる。
「だってそれは絶対にそうなのよ……」
しまったと思いながら、椅子から腰を浮かすエミリアに、隣に座るアウレディオが射るような視線を投げてくる。
(わかってるわよ……私だって泣かすつもりなんてなかったんだから……)
「お母さん……」
何と言って慰めたらいいのだろう。
困りきっているエミリアに、母は思わず誰でも抱き締めてしまいたくなるような、儚げな泣き顔を向ける。
「ごめんね、エミリア……でも他に方法がなくって……」
「う……うん……」
天使の泣き顔と、アウレディオの非難の視線に挟まれ、エミリアは窮地に立たされていた。
必ずしも本意ではない言葉が、思わず口から出てくる。
「わかった……私、協力するから……」
先に手伝うと宣言してしまった手前、どうせ今さら断ることもできない。
それは、一度約束したことは守りとおすというエミリアの信条に反する。
(結局、やるしかないんだから!)
半ば諦め気味に目を閉じたエミリアに、
「エミリア!」
案の定、母が泣きながら駆け寄ってきた。