大天使に聖なる口づけを

さっきと同じように玄関で出迎えてくれた母は、エミリアの顔を一目見るなり、
「うん。どうやら仲直りできたみたいね」
とにっこり微笑んだ。

(子供みたいって思う時もあるけど、やっぱりお母さんにはかなわないわ……)

エミリアは今度こそ心からの笑顔を母に向け、夕食のテーブルに着いた。

ピンと張られた赤白の格子縞のテーブルクロスの上には 母が腕によりをかけた、飛びきりのご馳走が並んでいる。
肉や芋や玉葱のパイ。
種入りのケーキ。
ソースのかかった燻製肉。
鶏のシチュー。
チーズ。

さっそく目の前にある焼きたてのパンに手を伸ばしたエミリアは、
「それで……ミカエル捜しのほうはどう? 何か進展はあった?」
という母の言葉に、うきうきとしていた気分も食欲もいっきに失せ、何と答えていいのかわからずに俯いた。

「エミリアの好きな相手とだったら、とりあえず接点を作った」
シチューを口に運びながらこともなげに答えるアウレディオに、母は瞳を輝かせる。

「さっすがアウレディオ! 仕事がはやーい!」

エミリアはパンが喉に詰まってしまいそうなくらいに咳きこんだ。
「な、何言ってんのよディオ!」

しかし母は、そんな娘の様子にはおかまいなしだ。
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