幼なじみとナイショの恋。

「え!?いや、えっと……」


「はい!ちょっと顔貸して〜」



グイッと私の顔を引き寄せる茜先生。

手際よく私にメイクを施し始める。



うぅ。


人に顔をいじられるのなんて初めて。


何だかちょっと恥ずかしい……。



「でーきた!うん!やっぱり結衣ちゃんとってもよく似合う!地が綺麗な顔立ちしてるから、似合うと思ったんだよね」



「ハイ」と言って、茜先生が私に手鏡を差し出した。


恐る恐るそれを覗き込めば。



う……わぁ!



手鏡の中で、いつもよりほんのりピンク色の頬と唇をした私が、目を丸くしていた。



すごい……!


何だか一気に表情が明るくなったみたい!



「それ、結衣ちゃんにあげるよ」


「え!?で、でもっ」


「いーのいーの!買ったはいいものの、私にはちょっと色が可愛らしすぎてね。結衣ちゃんみたいに女の子らしくて可愛い顔立ちの子に使ってもらいたいなーって思ってたの!」



か、可愛い……!?


茜先生ってば、いくらなんでも無理がある。


そんなことを言うなら、茜先生の方が綺麗な中に可愛さを兼ね備えていて、常に眠たそうで覇気のない私の顔なんかより100倍このリップチークが似合うと思う。


そんなことを考えながら戸惑っていたら。
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