幼なじみとナイショの恋。

混乱している頭を一つ一つ整理していく。



……え。


これって、ひょっとして待ち合わせ?



「……っ!」



ようやく古賀さんの言葉の意味を理解できた私は、慌ててクローゼットの扉へと飛びついた。



今から準備をして、Y駅までバスで30分はかかる。


古賀さん、一時間以内って言ってたよね?


い、急がなきゃ!!




バタバタと準備をして、財布とスマホだけ入れたバックを片手に、飛び出すように家を出た。


エレベーターが一階に下りるのを足踏みしながら待ち、一階に着くなり猛ダッシュでエントランスを駆け抜ける。


途中、何度も転びそうになりながら走って、最寄りのバス停に着いた時には、恥ずかしいくらい汗だくになっていた。


真夏の太陽は、午前中にも関わらず容赦ない。


すでに30度は超えているだろう気温のせいで多少目眩を覚えつつも、グッドタイミングでやってきたY駅行きのバスになんとか乗り込んだ。



そうして、ようやく西口に着いた時には、古賀さんの電話からすでに50分近くたっていた。



古賀さん……もしかしてもう帰っちゃったかな……?



不安になりながら、キョロキョロと辺りを見回す。


駅構内は、夏休み真っ只中ということもあってか、家族連れやカップル達が行き交っていて、普段よりどことなく和やかな雰囲気に包まれていた。
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