幼なじみとナイショの恋。
眼鏡の奥の瞳が、そっと優しく細められていた。
「蒔田さん、もっと自分に自信を持ってみてください。自信は、きっと恐れているものに立ち向かう勇気になります。すごく難しいことなのかもしれないけれど、大切な人を諦めてはダメです」
そっか……。
井田さん、私とはるくんのことを知っているんだ。
だから今日も、私を元気づけようとして、用事があるにも関わらずこうして付き合ってくれたんだね。
そして、それは古賀さんも一緒。
古賀さんに自分で考えろと言われた理由が、わかった気がした。
私って、本当に幸せ者だ。
自分に自信が持てないのは今も変わらないけれど、自分を卑下して、この人達を傷つけちゃいけないよね。
少しでもいい。
せめて、こんな私のことを心配してくれるこの人達のことを傷つけない強さがほしい。
強く……なりたい。
────自信は、立ち向かう勇気に。
井田さんを見送った後も、ずっとその言葉が頭から離れなかった。
*
「古賀さん……。あの、どこに行くか聞いてもいい?」
「……」
井田さんを見送った後、古賀さんに『ついてきて』と言われ、今私はガタゴトと揺れる電車の中にいた。
「あの〜、古賀さん……」
「うるさい」
「うっ……ごめんなさい」