幼なじみとナイショの恋。
きっと今もそう。
弱さを必死に押し込めて、彼のために強くあろうとしてる。
優さんの存在が、古賀さんに力を与えているんだ。
優さんがいたから、古賀さんは強くなれた。
それなのに……
優さんは、もうこの世にはいないだなんて。
もう古賀さんの側にいないだなんて。
今なら自信を持って想いを届けられる。
古賀さんは優さんに好きだと伝えられる。
なのに……。
そんなのって……ないよ……。
スカートを握る両手の甲に、ボタボタと大きな涙が落ちていく。
「もしもあの時、私に未来がわかる力があったら、私は優に間違いなく気持ちを伝えてた。私がごちゃごちゃ考えていたことは、その程度の障害でしかなかったんだ。優がいなくなることに比べたら、バカみたいにくだらないことだった」
「……古賀さっ……」
「だから、あんたには伝えずに後悔するようなバカなことだけはして欲しくない。後悔するなら、伝えてからにして。それに私にはもうないけど、あんた達にはまだああいう未来だって、あるかもしれないでしょ?」
古賀さんの視線は、斜め向かいの家族に向けられていた。
幸せそうな家族の形と共に、古賀さんが失った未来がそこにあった。
「可能性は、0じゃないんだ」
生きてさえいれば、可能性は無限なのに。
失ってからでは遅いのに。
なぜ私達は迷うのだろう────。