幼なじみとナイショの恋。

古賀さんは、もう昔の古賀さんじゃない。


いつまでも弱いままの私なんかとは違う。


古賀さんは紛れもなく“強い人”だ。




「伝えられないんだよ」


「なぜ……?」



聞いてすぐに後悔した。


古賀さんの表情が曇り、今にも壊れてしまいそうだったから。



「いないからだよ。もう。この世に」




……え?



後頭部を鈍器で殴られたような衝撃だった。



…………いない?



「私が、中3に上がってすぐに優は事故で死んだ」



息が……できない。



「その日の前日、優に言われた。『ずっと好きだった』って。だけど私は、その時に自分の気持ちを伝えられなかった。頭の中でくだらないごたくばかりを並べて。二度と優に気持ちを伝えられなくなるとも知らずに……逃げたんだ」



古賀さんの目には、涙が溜まっていた。


だけど、古賀さんは、それを零すようなことはしない。


瞬きをせず、ただ真っ直ぐ前を見据えて、唇を噛み締めて。



「だから私は、もう自分の気持ちを誤魔化さないって決めた。どんなことであっても、伝えるべきだと思ったら、絶対に躊躇はしない。もう、あの時のような後悔は絶対にしたくない」



強く変わったわけじゃない。


古賀さんは、強く変わろうとしたんだ。
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