幼なじみとナイショの恋。
『蒔田さんこんばんは!あのさ、明日って予定空いてる?学年レクの時のメンツでどっか遊び行かない?』
「っ!」
その内容を見て、さっきまで沈んでい気持ちが一気に浮上して、だけど、またすぐに沈んでいった。
学年レクの時のメンツ……。
ダメだよ。
はるくんにどんな顔をして会えばいいかわからない。
それに、きっとはるくんも私がいたら嫌なはず。
実は、明日に予定なんか入っていない。
厚木くんからのお誘いも、本当はすごくすごく嬉しい。
みんなでたい焼き屋に行った日のことを思い出すと、涙が出そうになった。
だけど……。
『ごめんなさい。明日も予備校があって、私は行けそうにありません』
スマホ画面にそう打ち込み、送信ボタンを押す。
「嘘ついて……ごめんね」
そう呟いて、真っ暗な空を見上げた。
湿り気のある風が私の髪を揺らす。
私、このままでいいの?
はるくんから、逃げ続けていていいの?
勇気が……欲しいよ。
周りの人達が一斉に歩きだし、横断歩道の信号が青になったのだとわかった。
私も慌てて歩き出す。
横断歩道を渡り切ると、駅はすぐ目前。
すると、駅の入口に見覚えのある人影が見えて思わず足を止めた。