幼なじみとナイショの恋。

普通、高校一年生の夏休みっていったら、もうちょっと楽しいものなんじゃないかなぁ……。



予備校からの帰り道、ビルの合間から覗く藍色の空を見上げながら、苦笑する。


でも、かえってよかったかもしれない。


こうして忙しくしていれば、はるくんのことを考えなくてすむし。


私に向けられたあの冷たい瞳やそっけない態度を思い出して、胸が苦しくなることもない。



「もう、どうしたらいいのかわからなくなっちゃったな……」



はるくんに、想いだけは伝えようと決心したあの日から、私の気持ちは変わってはいない。


だけど……すごく怖いんだ。


はるくんとずっと一緒にいたけど、この間のような冷たい目をされてしまったのは初めてだった。


私がもし想いを伝えたら、今度は一体どんな顔をするんだろうって……考えただけで不安が込み上げてくる。


どうやら私は、想いを伝える決心はできていても、傷つく覚悟がまだできていないみたいだ……。




駅に程近い横断歩道に差し掛かり、信号待ちをしていると、突然スカートのポケットに入れていたスマホが震えた。


ポケットから取り出し確認する。


その送り主は、厚木くんだった。



厚木くんからメッセージなんて珍しいな。


どうしたんだろう?



不思議に思いながらも、メッセージ画面を開く。
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