幼なじみとナイショの恋。
それどころか、はるくんと厚木くん以外、ほとんど話したことすらない。
みんなが学校での居場所をみるみる見つけていく中、私だけが取り残されてしまった。
今住んでいる街に引っ越して来る前は、私はどちらかと言えば自分の気持ちをはっきりと口にできる性格だったと思う。
田舎のおばあちゃんには、『結衣は本当におしゃべりだね』って呆れられたくらいだ。
だけど、いつしか私は、自分の気持ちを上手く人に伝えることができなくなってしまった。
多分、原因はお母さんとの関係にあるんだと思う。
おばあちゃんがいる田舎から、今住んでいる街に引っ越してきてからというもの、お母さんは厳しくなり、私に完璧を求めるようになった。
特に勉強に関しては、遊ぶ暇がないくらい習い事をさせられて、友達の誘いを断ったのは数えきれないほど。
そうしている内に、一人、また一人と友達は減っていった。
そして私自身も、友達にどう接したらいいのかわからなくなってしまった。
そんなある日。
『結衣ってつまらなくない?いつも勉強ばっかしてて、全然うちらと遊ばないし』
『わかるー!付き合い悪いよね!あんなの友達とは言わないっての』
中学1年生の時のことだ。
当時仲がいいと思っていた友達がそう話しているのを聞いてしまった。