幼なじみとナイショの恋。
ど、どうしよう……。
「早く」
「ううっ……」
これは、どう考えても“いらない”とは言えない雰囲気だ。
せっかくくれるって言ってるのに、拒否するのも悪いし……どうしよう。
うう〜!こうなったら、覚悟を決めるしかないよね!
あーもう!
そんなに見ないで〜!!
「い、いただきます!」
勢い任せにガブリと一口かぶりつく。
「お、おいひい!!」
「ぶはっ!そう?よかったね」
はるくんは、普段すごく大人っぽいのに、時々こうして子供みたいな顔で笑う。
10年前と変わらない、大好きな大好きなはるくんの笑顔。
この笑顔を見ると私は、どんな辛いことだって乗り越えられる。そんな気がするんだ。
ようやく笑い終えたはるくんが、青く澄みきった空を眩しそうに仰いだ。
優しい風が吹いてきて、はるくんの前髪がサラサラと揺れる。
綺麗……。
「まだ友達できそうにない?」
カツサンドを手に取った私は、思わず「うっ」と声を漏らしてしまった。
「朝も、俺らに気使って先に行っただろ。ああいうの、しなくていいから」
気付いてたんだ……。
やっぱり、はるくんはすごいなぁ。
私のことは昔から、何でもお見通しなんだ。
「うん……。でもほら、私とっつきにくいって言われてるから。私といたら、はるくん達も変な風に言われちゃうかもしれないし……」
「言いたいやつには言わせとけばいいし」