幼なじみとナイショの恋。

赤くなった顔を誤魔化すように、頬を膨らませて怒ったふり。



「は〜る〜くん?私のカツサンドだよ〜?」


「さすが売店のナンバーワンだけあるね」


「そういうことじゃないよぉ!」


「何怒ってんの?一口貰っただけじゃん」


「一口が大きいよ!カツサンドあんまり入ってないんだからぁ〜!」



「ふっ。すげー食い意地」と言って、呆れたように笑ったはるくんが私の隣に腰を下ろし、何やら自分が持っていた袋をあさり出す。



「しょうがねーな……。ん。これ一口やる」



こ……これは!



はるくんが私の方に差し出したのは、売店のナンバーツー商品!たこ焼きパン!!


パンに挟まったたこ焼きの中には、惜しみなくカットされた大きなタコ。しかも、そんなたこ焼きと一緒に焼きそばまで挟さまった、贅沢だと話題の惣菜パンだ。


さっき私も売店で、カツサンドとどちらにしようか迷ったばかりだった。


や、やっぱりこっちも美味しそう……。



「ぶっ」


「は!な、何で笑うの!?」


「いや。結衣、今にもヨダレたれそうだから」


「なっ!?た、たらさないもん!!」


「はいはい、わかったから。ほら。あーんして」



私の方にずいっとパンを近づけるはるくん。



あーん!?!?


……て、こんなふうにじっと見つめられて、そんな恥ずかしいことできるわけ……!!



もう真っ赤になった自分の顔を隠す余裕もない。
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