みんとキャンディ
「どうせ予定潰れたんなら付き合えよっ」



なんて言って雄楽が聖梨を連れてきたのは、



ゲーセンだった。




毎日毎日スポーツバッグを引っさげ、朝から晩までサッカーに明け暮れる雄楽に、




着飾った女の子をスマートにエスコートする術など知っているはずもなかった。



ただ、



傷付いてるであろう聖梨の笑顔が見たくて、




「どれがいい?」




雄楽はクレーンゲームの前に立って、隣に居る聖梨に微笑んだ。




中学生の頃。




友達関係にに毛が生えた程度に付き合った女の子が居た。




名前すらおぼろげな彼女が喜んでいたこと。




それが雄楽の知っている唯一の、女の子を喜ばせることが出来た方法だった。




雄楽の問いかけに、



聖梨の目はガラスケースの中に転がるぬいぐるみを、代わる代わる見つめていた。



「じゃあ……あれ」




聖梨の長い指が差した先。




リスやハムスターなどの小さなぬいぐるみに紛れた、



きりんのぬいぐるみ。


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