みんとキャンディ
明らかに場違いなきりんのぬいぐるみを、




聖梨は嬉しそうに指差している。




「……あれでいいのか?」



不思議そうに首を傾げる雄楽に、



「あれが良いの」



聖梨はにっと笑い返した。




聖梨の望みとあらば取るしかない。




制服のポケットから取り出した小銭を差し込み、




雄楽はボタンへと指を置いた。




ガラスケース越しに見える聖梨の目がキラキラしている。




このぬいぐるみを取ったら、



聖梨はもっと嬉しそうに笑うかもしれない……。




ボタンを触る雄楽の手に、力が込められた。
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