いつか、眠るまで
本当に驚いてるような声だった。
どうしたんだろ。
いつもなら「未亜じゃん!やっほー!」みたいなノリでくるのに。
今日は、そのノリがない。
「未亜、ここで…何してんの?」
なんとなく、ぎこちない様子のように見えた。
いや、それ私のセリフなんだけど。
「風邪薬、貰いに来てた。」
うっ、なんか好きだと自覚し始めると嘘をつくのも困難になる。
まるで、先の尖った矢が胸に突き刺さったみたい。
「那音は?」
「俺は…従兄弟が今、診察受けてるんだ。」
付き添いか。
てか、従兄弟いるんだ。
「花園さん」
受付の人に名前を呼ばれ、急いでいく。
ホッと漏れる息が、どこかで聞こえた気がした。