イジワル専務の極上な愛し方
──半年後。

「すごいね、今度は、イタリアのファッションブランドと業務提携なんでしょ?」

「久遠寺グループとの仕事も、斬新な商品PR方法だって、かなり注目されてるもんね」

社内では、そんな社員たちの会話が聞こえてくる。エレベーターで会話が聞こえてきて、なんだか嬉しくなってきた。

「そういえば、専務と秘書の結婚式ってもう終わったの?」

「みたいよ。羨ましいよね。副社長も専務も、社内恋愛よ? 私にもチャンスがないかな」

彼女たちは、そう会話をしながら、自分たちのフロアで降りていく。ますます頬が緩みそうになりながら、私もエレベーターを降りた。

秘書室に入り、専務室のドアをノックする。

「翔太さん、戻りました」

ドアを開けると、デスクにいた彼が立ち上がって私の側へ来た。

「悪かったな。メモリ、ちょうどいいのがあったか?」

「はい、ピッタリのものがありました。でも、ちょっと運が悪かったですよね。まさかの発注したメモリが、不良品だったなんて」

左手を差し出した翔太さんの薬指には、私との結婚指輪が光っている。

先週の日曜日、私たちは結婚式を挙げた。私の両親は、彼との結婚に異論はまったくなく、最初から祝福をしてくれていた。

でも、社長は本音のところはどうなんだろうと心配があったけれど、初めて笑顔を見ることができて、思わず泣いてしまったっけ。

お義母さんには笑われるし、翔太さんのお兄さんである副社長や、弟さんにまでクスクス笑われて、気恥ずかしさでいっぱいだった。

それでも、翔太さんの愛に包まれて、今までにないくらいに幸せを感じられたお式だったな……。

「そうだよな。お陰で、彩奈にお使いに行ってもらって申し訳なかったよ」

「いえ、これも仕事ですから。これから、もっと忙しくなりますね。頑張りましょうね」
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