イジワル専務の極上な愛し方
翔太さんが作ってくれたフレンチは、スープやサラダ、肉料理が本格的で、お店で食べるよりずっと美味しかった。

ドレッシングやソースなども手作りで、どうしてここまで出来るんだろうと不思議だったけれど、どうやら社長であるお父さんから仕込まれたものらしい。

さすが大手企業の社長一家ともなると、ゲストを呼んでのホームパーティもざらにあるとか。

そういうときは、手作り料理でおもてなしをするのだと教えてもらった。

「本当に、美味しかったです。翔太さんの腕、プロ並みですよ」

お風呂を終えて、二人でリビングのソファに座り、夜景を眺める。だけど私には、目の前の輝くネオンより、翔太さんの料理に感動しきりだった。

「ありがとう。そんなに、喜んでもらえたならよかった。ホームパーティー以外で作ったのは、今夜が初めてだったから」

「そうなんですか? ありがとうございます……」

私のために、そこまでしてくれた気持ちが嬉しい。忙しいはずなのに、準備をしてくれて……。

お風呂だって、私の好みを想像してローズの香りの入浴剤を用意してくれていた。

とてもリラックスできる匂いだったうえ、お風呂からも夜景が見られて、本当に贅沢な時間だったな……。

「彩奈、そろそろ寝ようか? 一緒のベッドでいいだろう?」

ふわふわとした気持ちでいたとき、翔太さんからそう言われ、一気に現実へ引き戻された。
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