イジワル専務の極上な愛し方
「それは、俺も同じ。それに、目が覚めたら、彩奈がいなくなっていたらイヤだなって、寝るのが怖いかもしれない」

クスッと笑う翔太さんに、私は小さく微笑みを見せた。

「いなくなりませんよ。私は、ここにいます……」

そっと彼の胸に、自分の手を当ててみる。引き締まった胸板は、触れているだけでもドキドキしてしまうくらいに逞しかった。

「彩奈……。そうだ、今夜はお前をを抱きしめて寝よう。明日は、一緒に出社しような」

ギュッと抱きしめられ、優しく髪を撫でられる。ときめく想いが溢れていくのが分かった。

「それだと、いつかは噂になっちゃいますよ。翔太さん、本当に大丈夫なんですか?」

「大丈夫もなにも、悪いことはしてないだろう? それに、付き合っているからって、業務がおろそかになるほど、俺たちは浅はかだと思っていない


そう言われ、夢心地な気分にどこか喝が入る。翔太さんの言葉どおり、付き合っているからって、全てが浮ついているわけじゃない。ただ、こうやって二人のときは、ちょっと夢を見ている気分だけれど……。

「翔太さんの言うとおりです。それならなおさら、社長にご挨拶をするまでは、噂になるような行動を慎みませんか?」

同じ会社に翔太さんのお父さんがいるのだから、意識をしないわけがない。すると、彼は優しく微笑んだ。

「彩奈の言うとおりだな。じゃあ、近いうちに親父に紹介するよ」
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