イジワル専務の極上な愛し方
スタートからこんな調子で、翔太さんと上手に過ごすことができるのかな。

自分にまったく自信がなくなっていたとき、ふいに背後から抱きしめられた。

「しょ、翔太さん!?」

痛いくらいに強く抱きしめられると、彼に耳元で囁かれる。

「よかった。少しは気にしてくれてるんだな。俺のこと」

「え……? どういうことですか?」

ドキドキと胸が高鳴る。怒っているとばかり思っていたのに、違ったってこと……?

「泣きそうな顔してたから。ごめん、ちょっとイジワルし過ぎたかな」

「翔太さん、怒ってたんじゃないんですか……?」

「怒ってないよ。嫉妬はしたけど」

そうだったんだ……。怒っていなくてホッとしたけど、嫉妬ってやっぱり祐一さんのことよね……。

あんなふうに突然言われたのだから、翔太さんが気を悪くするのは当然。

ちゃんと、謝らなきゃ……。

「ごめんなさい、翔太さん。今日は、不愉快な思いをしましたよね」

どれだけ、イヤな思いをしたんだろう。もし逆の立場なら、切なく感じるから……。

「なんで、彩奈が謝るの? 俺は、むしろ嬉しかったけど」

「ど、どうしてですか?」

肩越しに振り向くと、彼にキスをされる。そして振り向かせられると、再び抱きしめられた。

「だって、今の恋人は俺だから。浅沼社長は、彩奈に未練があるみたいだったけど、それは叶わないんだよなって心のなかで思ってた」
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