生真面目先生のちょっと大人の恋の話
もう一人はそのシルエットから女性らしい…。

私は思わずくるりと身体の向きを変える。

私は胸の前で手をぎゅっと握る。

自分の心臓の音が聞こえるほどの緊張感。

そして私は気配を消して、そっと公園から出た。

公園を出たと同時に走り出す。

二人は確かに抱き合っていた。

暗闇の中だったけれど、それは間違いない。

絶対間違いない、自分の目で見たんだもの…。

走りながら、涙が浮かんでくる。

バランスが取れなくなって、私はトボトボと歩き出す。

身体だけではなく、心のバランスも当然失っている。

どうやって家まで戻ったんだろう。

いつの間にか、私は玄関に座り込んでいた。

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