生真面目先生のちょっと大人の恋の話
私は身じろぎもせず、将人を見つめる。

「…あの日、陸上部の生徒に帰り間際に相談を持ち掛けられた。練習内容に関してで、とても真剣だったからつい長引いてしまった。学校を出たのが、8時前だったと思う。」

これは酒井さんから聞いた話と合致している。

私が本当に聞きたいのはここからだ。

「学校の前で、俺を待っていた人がいたんだ。」

どうやら将人はちゃんと話してくれるようだ。

「…その人は誰?」

「やっぱり見たんだな。」

将人が私の手に優しく触れた。

「彼女は俺が研究対象としていた陸上選手…、恋人だった人だ。」

私は将人の顔をぼんやりと眺める事しか出来ない。

「俺は研究に必死になるあまりに…、彼女の記録を上げてやりたいと思うあまり…、彼女の身体を壊してしまったんだ。」

将人の悲しそうな顔が胸を突く。

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