生真面目先生のちょっと大人の恋の話
私は将人の手を自分の手で包み込む。

「…彼女の思いに答えてあげる事は出来ないの?」

私は切なげに将人の顔を見る。

「違うんだ、朝弥。もし俺達はやり直したとしても、きっとまた俺は違う意味で彼女を潰してしまう。関係が対等でないんだよ。」

将人は首を横に振る。

「彼女は俺の真の姿を受け入れられていないんだ。研究者としての俺しか見えないんだ。だから俺はあいつの前では本当の自分をさらす事は出来ないんだ。そしてあいつも…。」

そして将人は私を見て弱々しく微笑む。

「ウォーキング大会で置いてきぼりにされた事、実はショックだったけど、何て真っ直ぐな人なんだろうと思った。それは俺に対するはっきりとした拒否だったわけで、朝弥はあの時、自分の意志をちゃんとぶつけてきたわけだろう?」

確かに私の意志であの時は公園を後にした。

罪悪感は残ったけれど。

「でも彼女にはそういう態度がまるでなかった。俺に従う姿しか見せなかったんだ。俺に自分をぶつける事が出来なくなって、結局その事が身体を壊してしまった一つの原因であったとも思う。」

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