生真面目先生のちょっと大人の恋の話
吉永先生は丁寧に頭を下げてくれた。
 
「文系クラスを担当します一ノ瀬です。これからいろいろとよろしくお願い致します。」

私も吉永先生の挨拶を受けて、深々と頭を下げた。

「一ノ瀬先生、高等部の教室の案内をして頂けませんか?」

吉永先生はそう言って笑った。

「こないだ一度お邪魔したんですけど、まだ不慣れで。」

う~ん、この声にも聞き覚えがあるような気がする。

でも私はそう感じながらも、思い出せない事に引き目を感じて、その事を直接聞くことが出来ない。

「じゃあ、高等部の方に行ってみましょうか。」

私が歩き出すと、吉永先生はその後ろをついて来た。

さすがに今は高等部の教室の方はひっそりとしている。

多分明日以降、こちらでの準備も始まって慌ただしくなるだろうが。

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