クール彼氏とツンデレ彼女
もともと好んでここに来たわけではないから、余計に。
まあ、楓真の私服が見れると思って若干楽しみにしてはいたけど。
「怜南さんの行きたい場所で大丈夫ですよ」
楓真……!
見たこともないくらい爽やかな笑顔で、なんてことを!
お姉ちゃんに媚びてるのか……!?
「よし、じゃあ行こう」
満足げに、お姉ちゃんは須藤君の腕を引いて行ってしまった。
「なんであんなこと言っちゃったの。お姉ちゃんのわがまま、一度許したら切りないのに」
「少しでも怜南さんに気に入ってもらいたいんだよ」
……なぜ。
いや、なぜ?
「これからのためにも、な」
楓真は何かを企んでいるかのような笑みを浮かべた。
これから、て……
「紗知?固まってるけど、どうした?」
確信犯かよ。
「べ、別に!」
「別にってことはないだろ。顔赤いぞ」
……なんか変なスイッチ押したかも。
「ちょっとー。いつまでイチャイチャしてるのー?」
かなり先まで行っていたお姉ちゃんに呼ばれて、私は意地悪な楓真から逃げた。
別に、イチャついてたわけじゃないもん。