諦めたけど好きです
片思いは作戦考え中

誰か説明してくれ。


「君が好きです!付き合ってください!」

「俺には君しかいないんだ!お願いします!」

超がつくほどのイケメンがとても情熱的な告白をする。

海里の瞳が熱い。

まわりの女子達はキャーキャー言っている。

壁ドンに顎クイ。

見てるこっちがドキドキさせられる。





うん。そう。見てるの。


一瞬ね、私に告白したのかなって思ったんだけどね。





「うわぁぁぁぁ!やめろ!離れろ!」


「なんで!おれのこと、嫌いかい?」


海里が壁ドンして、顎クイした相手は…………光樹だ。


私は目の前でその光景を見ている。


なんだこれ…………何を見せられてるんだだ私は…


関係なさそうなので、早く立ち去ろうとした。

「やめろ!くっつくな!おい!」

「待って!まだ返事をもらってないよ!」

「返事なんてするか!」

「ぇ……それは『考えさせてください。』ってこと?」

「考えたくもないわぁー!ちょっ、那奈助けてくれぇ!!」

後ろを見ると、光樹がこちらに向かってくる。

「いや、人を巻き込むな!」

私の言葉も聞かず、光樹は私の背中に隠れた。

「あいつどうにかしてくれ!」

「ちょっと待て、なんで人の背中に……」

海里が迫ってきた。

「俺じゃダメかい?那奈の方が光樹くんは良いの?」

「はぁぁぁ!?」

光樹の顔が赤くなっている。

驚いた拍子に光樹は立ち上がった。

そしてその隙を見逃さなかった。

「!?」

海里は光樹の肩をつかんだ。

「捕まえた。もう離さないよ。」

女子相手ならドキドキがとまらないようなセリフを、男に言うな!

海里はそのまま自分の方に光樹を引き寄せ抱き締める。

「ぎゃぁぁ!離せ!」

「だ・め。」


……………………皆さん。お気づきでしょうか。

私は今、抱き合っている二人に挟まれております。

普通ならたぶん、キャッってなるのに私の頭の上で愛を語り合っていたら変な汗まで出てくる。

「海里!!いいから落ち着いて!!」

叫んだが聞こえてない。

「あぁ、光樹くんのその瞳……可愛い。もっと近くで見たいなぁ………」

「お、おい。やめ……」

「ちょっ、人の頭の上で…………海里……」

力をいれる。


「いい加減に人のはなしきけぇぇぇぇ!!」

私の鉄拳がイケメンにミラクルヒットする。


怯える男子。

勝ち誇った顔の女子。

吹き飛んだイケメン。



……………ましなやつは、いないんだろうか…




「……………ん……ここは…」

「あ、海里。目が覚めた?」

「保健室か……なんで俺ここにいるの?」

「私が殴って気絶したから。」

「なんで殴られたの俺?」

「その前に、一つ質問したい。」

「なに?」

少し戸惑う。男に変な質問だな…

「……光樹のこと……好きなの?…恋愛の方で」

「あぁ好きだよ。」

さらりと笑って言う。

「だって彼、素敵じゃない。」

そうだよね!とは言えない。

「えぇと……ホモなのか?」

「んー。たぶんそうなるかなー」

軽いな。

「それより、僕を運んでくれた人って誰?もしかして光樹くん!?」

「残念だけど、先生だ。」

「そっか~。残念。」

シュンとする。犬みたいだ。

「………まぁお大事にしてくれ。」

「うん!ありがとね。お見舞い」

お見舞いというか、殴ったのは私なんだけど……

早くこの場を去りたいのではや歩きで保健室を出てった。

少し歩いていると、声をかけられた。

「おい。那奈。」

「ん?」

!!!秀!

「なに?」

久しぶりに話すな……なんて油断してると、ニヤニヤしてしまう。

「……いや。お前、海里と付き合うとか?」

「へ!?なんでそうなるの!?」

「え、だって廊下で告白されたって聞いたぞ?」

「されてないよ!告白されたの光樹だし!!」

「はぁ!?訳がわからないぞ!」


説明しないといけないのか……



「…なるほど。」

「納得すんの!?」

「まぁ…。そうかお前は告白されなかったのか。………うぅ」

「どうしたの?」

「……いや、前に海里に『秀くんってカッコいいね~』って言われてちょっと喜んでたけど……」

あぁなるほど。普通のカッコいいと、ホモのカッコいいなら……考えたくない。

「……秀もカッコいいって言われたら嬉しい?」

「………まぁ男だからね。嬉しいよ」

「そうなんだ……」


うれしいんだ。ふーん。


「…………………………」

「…………………………」


「あっそう言えば、もうすぐで文化祭だね!秀のクラスは何やるか決まった?」

「あ、うん。一応劇で、白雪姫のアレンジ版だとよ。」

「へぇ~役割は?」

「王子役。」

わぉ!それは是非とも見たい!


「……………カッコいい秀見してよね。」

ポンと秀の肩を叩く。

ドキドキしろ!秀!

攻撃したが、カウンターがきた。

頭の上にてをおかれる。

「カッコよすぎて鼻血出すなよ。」

べっと舌を出す。


『ドギャーーーン!!!

那奈は胸キュンダメージ210うけた。

那奈のスキル「固まる」が発動した。』


秀は「じゃあな」といっても歩いていった。


やるな………攻撃したのに…

動けないな……







前の作戦は失敗したけど、次は文化祭が待ってる。
頑張ってすごい作戦を考えて、次は絶対にダメージ与えてやる!








< 9 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop