隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
運転中もずっと重ねられた彼の手。
ただ重ねられただけの手がいつの間にか強く握りしめられていた。
無言の車内は、甘い雰囲気が漂う。
何か言葉を交わす事はなく、信号が赤になる度に彼と目が合う。
優しい表情で微笑みながら目を細める彼。
その度戸惑いを隠せずにいる。
暫くすると、薄暗い地下の駐車場へと進みそのままそこに停まった。
きょろきょろと辺りを見回しているといつの間にか車から降りていた彼が助手席のドアを開け車から引っ張り出された。
「、、、行くよ。」
少し強引な彼に戸惑いながらも、手を引かれエレベーターへと乗せられた。