突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
「この前の礼だ」

「礼?」

 身に覚えがなくて、小首を傾げる。

「城田に、預けてただろ」

 必死で記憶を辿った。

「もしかして、あのドリンクのこと?」

 少し前にあげたエナジードリンク。結局なにも言わなかったから、飲んだのかどうかもわからなかったけど……まさかそれで、これを?

「あの日はずいぶん忙しかったから、助かった」

 素直にそう言われて、頬には嬉しさが滲み出した。

 怒り出しそうだから、城田さんにもあげたっていうのは黙っておこう。なんとなくそう思った。

「もう寝ろ。本は、そこから持っていけ。俺はあとから寝る」

「うん。ありがとう。嬉しかった。明日……つけて出るね」

 お礼を言った私を、彼は面倒くさそうに追い払う。そっぽを向いた彼の横顔は、耳まで赤く染まっていた。気づかれないように、そっと笑みを零す。

 これ、本当に可愛い……。

 外したそれを大事にベッドのそばにあるサイドテーブルの上に置いた私は、本も開かず、眠りについた。
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