突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
「ちょっと創、いい加減ドレスがシワになるから」

 目の前にあった肩を軽く叩くと、彼は私ごと抱き上げて立ち上がった。間近で絡み合う視線に、胸が高鳴る。

「日菜子、パーティーが終わったら話がある」

「話?」

「あぁ、だから、俺に時間をくれ」

 口もとに薄い笑みを見せた彼に、照れくささから視線を泳がせながらもうなずいて返した。

 創の話を聞いたら、私も告げよう。今もまだ収まらない動悸に、いい加減自覚するしかない。

 私は、創のことが好きだ。

 たとえこの気持ちが届くことはなくても、今さら消せそうにない想いがあると。できるならこの結婚を形だけじゃなくて、幸せなものにしたいと。

 改めて実感すると、ひどく胸が締め付けられた。

 彼が荒れていた理由が体裁を気にしたものじゃなく、私と同じならいいのに。
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