突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
「清仁。ちょっと、真紘を借りてもいい?」

 そばにいた清仁に声を掛ける。隣で瞠目している真紘を宴会場の外へと連れ出した。

「おい! 主役が抜け出して大丈夫なのかよ!」

 手を引かれる彼は、焦ったように言う。

「大丈夫、今休憩中だから」

「休憩って……」

 ある程度人が来ないところまでやって来た私は、軽く深呼吸をしてから口を開いた。

「さっきは、ごめん。話の途中だったのに」

 切り出すと、彼は小さく片方の眉を動かす。

「……別に。俺の言いたいことは全部言ったから」

「そのことで、聞いてほしいことがあるの」

 目を光らせ、真剣な表情を浮かべた。躊躇うように一瞬瞼を落とした彼が、

「……あぁ」

 と意を決した面持ちになる。腹を据えて、大きく息を吸い込んだ。
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