突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
「そこで私たち、なにか話したの?」

 彼の唸り声がする。少し悩んだような仕草を見せた彼は、おもむろに話し出した。

「お前の姉は明るくて、気立ても良さそう。年も俺と近かったから、〝こっち〟が婚約者になるんだろうななんて思ってた。反対にお前は、結婚って話が飛び交う中、すごくつまらなそうにその場にいたんだ。俺はその態度がなんだか気になって、顔合わせが終わって祖父たちが話し込んでいる隙にお前に近づいた。それで、聞いたんだ」

「なにを?」

 待ちきれず、急き立てる。彼は困ったような笑みを浮かべ、言葉を続けた。

「お前、そんなんじゃ選ばれないぞ。自分が結婚したいって思ってないのか? って。そのころ俺は、家族以外の周りの人間が皆自分にニコニコ接してくるのに耐えられなくなってたんだ。なにを言っても怒らない。レールから外れること以外ならなんだって許される。そんな気持ちの悪い人間たちにうんざりしてた。だから、お前の答えが――」

 彼が、慈しむような眼差しを向ける。鼓動がひと際大きく跳ねた。
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