突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
 結納のあとおじいちゃんが、うちと立花邸はちょうど会社を挟むような場所に建っていると言っていた。ハルオの本社とタチバナグループの本社は同じオフィス街にあってそう遠くないし、きっと、通勤時間は今までとそれほど変わらないと思う。

 昨夜は疲れていて考えが及ばなかったが、早く起きてその辺のこともきちんと彼に聞いておけばよかったと今さらながら悔やんだ。

 毎朝目覚まし代わりに使っているスマートフォンのアラームがまだ鳴ってないから、そんなに遅い時間ではないはずなんだけど……。

 ワンピースパジャマのポケットに入れたままだったスマートフォンを取り出し、ボタンを押して画面を覗いた。

「……七時すぎ、か」

 私が設定していた時間は、七時十五分。これでもいつも早めに設定していたから、この時間ならとりあえず仕事に遅刻する心配はなさそうだ。むしろ、三十分後に出たなら早すぎるくらい。

 ほっと胸を撫で下ろした一方で、再び火のついたように慌てふためく。

「急がないと!」

 家から持参した櫛(くし)を頭に入れた瞬間だった。鏡の前に置いたスマートフォンが、ポロンと軽快な通知音を鳴らす。とにかく時間がない。後にしようかと悩んだが、聞きなれない音に内容が気になった。

 画面には、新着メッセージ一件と表示されている。
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