突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
「これって、電話番号宛てに送られてくるやつだよね……。誰だろう」

 メッセージアプリやメール、電話など、相手や用途によってやり方は違っても、この方法で連絡をしてくる人に心当たりがなかった。不審に思い開くのをやめようとスマートフォンを戻そうとしたが、どこからか湧いてきた少しの怖いもの見たさの感情が、その手を止める。束の間の葛藤の末、軍配は好奇心に上がった。「えいっ」と半ばやけくそで、画面をタップして中身を開く。

 それは、たった一文だった。

【一時間後に家の前だ。寝癖がひどいから、早く起こした。感謝しろ】

 差出人の名前がなくても、誰から送られてきたのか十分すぎるほどわかる。忌々しさが、荒波のように身体中を暴れまわった。

「あの男~! 電話番号も知らないって言ってたじゃない!」

 察しはついている。こんなことを勝手にするのも、祖父しかいない。

「余裕をもって起こしてくれたなら、そう言えばいいのに。どうして普通に伝えられないのよ。本当にひねくれた男ね」

 スマートフォンを強く握り締め、深いため息をついた。

 まだ朝だというのに、どっと疲れた。こんな生活がこれから毎日続くのかもしれないと思うと、今すぐ白目をむいて倒れそうになる。

 このままじゃダメだ。体力的に降伏させられる前に、私もなにか手を打たねば……。

 顔を上げると、鏡には情けない顔の私がいた。両頬を軽く叩き気合を入れる。

 やってやろう。あの男の好きな、徹底的に!
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