突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
「おじい様は、洋菓子もお好きなんですね」
ティーカップを置いた彼が、緩やかに目を細める。
「わしは甘いものにとにかく目がなくてね。一番の好物は、この前日菜子さんも買ってきてくれた【福庵(ふくあん)】の練り切りで、あれはいつ食べても本当においしいんじゃよ」
それは、あの日創が選んでいた上生菓子だった。私もおじい様にお誘いを受けて一緒に食べたけれど、たしかにあのお店のお菓子はどれも見た目もさることながら味もとてもおいしかった。あまりの感動に、今度おじいちゃんにも買って行ってあげようと密かに思っていたほど。
思い返し、満面に喜色を湛えた。
「創は、今日も仕事か。人間身体が資本。休みはきちんと取れといつも言っておるのに」
さらにひと口紅茶を飲んでいた彼が、おもむろにつぶやく。カップから顔を上げ、彼を見据えた。
「日菜子さん、大変であろう。あれと一緒にいるのは」
「そんなことは……!」
慌てて返したつもりだったが、彼は否定しきれなかったのを見抜いたように笑みを零す。いたたまれなくなって、私は肩を竦ませた。しかし、愉快そうな表情から一変、その顔には物悲しさが漂う。不思議に思い、息を潜めて視線を注いだ。
ティーカップを置いた彼が、緩やかに目を細める。
「わしは甘いものにとにかく目がなくてね。一番の好物は、この前日菜子さんも買ってきてくれた【福庵(ふくあん)】の練り切りで、あれはいつ食べても本当においしいんじゃよ」
それは、あの日創が選んでいた上生菓子だった。私もおじい様にお誘いを受けて一緒に食べたけれど、たしかにあのお店のお菓子はどれも見た目もさることながら味もとてもおいしかった。あまりの感動に、今度おじいちゃんにも買って行ってあげようと密かに思っていたほど。
思い返し、満面に喜色を湛えた。
「創は、今日も仕事か。人間身体が資本。休みはきちんと取れといつも言っておるのに」
さらにひと口紅茶を飲んでいた彼が、おもむろにつぶやく。カップから顔を上げ、彼を見据えた。
「日菜子さん、大変であろう。あれと一緒にいるのは」
「そんなことは……!」
慌てて返したつもりだったが、彼は否定しきれなかったのを見抜いたように笑みを零す。いたたまれなくなって、私は肩を竦ませた。しかし、愉快そうな表情から一変、その顔には物悲しさが漂う。不思議に思い、息を潜めて視線を注いだ。