突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
「創は、生き急いでおる。それは、わしのせいなのじゃ」

 私の視線に気づいた彼が話し出す。姿勢を整え、その声に耳を傾けた。温かな風が髪を舞わせる。

「なぜわしがこの年になっても未だ社長として現場に居座り続けているか、わかるかな?」

 おじい様が現場に携わり続ける理由? たしかに、私の祖父はもう何年も前に父に社長の座を譲り、今は会長として会社を見守っていた。ふたりは年齢も近いと聞いている。そうしたら、おじい様もあとは任せて勇退していてもおかしくはないんだけど……。

「創を、待っているんじゃよ」

 考え込んでいた私に、彼が言った。

「えっ? でも……」

 言いかけて、口を噤(つぐ)む。

 経営のことはよくわからないけど、順番的にいうと次期社長は創のお父さんになるんじゃ……。

 そんな疑問が頭の中を駆け巡った。想定内の反応だったのだろう。彼はさらに言葉を続ける。
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