突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
 人の上に立つにあたり、性格や才能が百パーセントではないとは思う。

 しかし、それがタチバナグループ総帥の立場ともなれば話は別だ。人並み外れた統率力や人望を一身に集めることのできるカリスマ性。加えて、強固な精神力が必要になるだろう。そんな資質があるおじい様や創の方が、極めて稀な存在なのだ。

「もともとかなりの才はあった。しかし、早く成長しなければという焦燥が、創の視野を狭くしている。会社のために有益なことならなんでも受け入れる。わしに嫌だと逆らったこともなかった。それが経営者としては嬉しくもあるが、ただのじじいとしては……いつも素顔を見せない孫が心配だったんじゃよ。でも、日菜子さん。君には見せられているらしい」

「えっ?」

 最後の一文に、驚きの声を上げた。

 創が、私には素顔を見せている?

 たしかに、感情はぶつけ合っていると思う。しかし、それらはすべて良い感情ではない。むしろ……。
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