突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
おじい様とのティータイムは終了し、私はテーブルの上に残ったお菓子やカップの後片付けを行っていた。おじい様と入れ違うような形でやって来たお手伝いさんが慌てていたが、今はまだこの心地の良い場所で思いを巡らせたかったので、無理を言って任せてもらった。
「本当にいい天気ね」
見上げると、ここへ来たときよりも静かな晩春の日差しが輝いているような気がした。
「あれ? なんの音だろう……」
なにやら突然家の前が、騒がしい。たくさんの人が話す気配があって、私は手を止めて門の方へと向かった。
――えっ? なにこれ。
見えてくる光景に、目を疑った。家の前には、マイクやカメラを持った報道陣が押し寄せていた。私を見つけ、全員が群がるように詰めかける。
「ホテル・ハルオの創設者、春尾忠雅現会長のお孫様、春尾日菜子さんでいらっしゃいますよね!? この度タチバナグループ後継者の立花創さんとご婚約されたというのは事実なのでしょうか?」
一斉にマイクが向けられた。大量にたかれたフラッシュで、目を開けることができない。腕で顔を覆うが、それでも光は止まなかった。