夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
「帰ろうか!」
「……うんっ!」
もう大丈夫。
やっぱり、彼が居てくれたら怖いものなんて無い。
いつも私を護って導いてくれる光に、迷う事なく手を伸ばした。
でも、私とバロンの手が触れ合う瞬間ーー。
彼の表情が、変わる。
「!っ……アカリッ!!」
「!……え?」
名前を呼ばれたと思ったら、物凄い力で引っ張られる。
血相を変えたバロンが伸ばした私の手首を掴んで、グイッ!っと力強く抱き寄せた。
!っ……えぇーーッ?!
そのまま勢いで、私はバロンの腕の中に収まる形になった。
突然の出来事に、茫然とする私。
「……ッ!」
「?……バロン?」
何が起こったのか、何故こんな状況になったのか分からない。
でも。
私を包むように抱き締めてくれているバロンが、微かにビクッと身体を揺らした気がした。