夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

そもそも、バロンは記憶がないって言っていた。
もしかしたら記憶が戻ったら、バロンは今のバロンとは全く別人なんだろうか?

そんな事を考えながら廊下を歩いていると、曲がり角でドンッと人にぶつかった。


「!っ……ごめんなさ……」

「あ、アカリ!」

「この声は!」と、名前を呼ばれた瞬間にドキンッと跳ね上がる鼓動が、その声の主を見なくても分かると告げている。

間違いない。
ハッとして見上げた先に居たのは、私に会えて嬉しそうに微笑むバロン。


「ただいま。
午前中、留守にしちゃってごめんね?」

謝りながら私に向けられる可愛い笑顔。
胸がキュンキュンと締め付けられて、苦しいのに目が逸らせない。


「すぐに着替えてローザ殿に予定聞いてくるから。
ちょっと待っててね!」

「う、うんっ」

バロンの甘い笑顔に無邪気な対応。
更に女子の憧れとも言われる”頭ポンポン”の合わせ技に、私の頭の中はすっかりお花畑。
ぽ~っとして、撫でられた頭に手で触れながら彼とすれ違った。
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