夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
おかげでほんのちょっと冷静になれて、抱き締められている腕が少し緩んだと同時に顔を上げると、バロンはバスケットの中のクッキーを取り出して自分の掌にいくつか並べ始める。
「っ……わ、笑わないの?」
「笑う訳ないじゃん。
こんなに可愛いのに……」
所々、耳とか顔型が欠けちゃって不恰好なのに、彼のクッキーを見つめる瞳はとても優しい。
そして……。
「ありがとう、アカリ!
めちゃくちゃ嬉しいっ……!!」
そう言って、私が思わずニヤけてしまうような最高に可愛い笑顔を見せてくれた。
そこからはもう、私の胸はウキウキと弾みっぱなし。
「食べるの勿体無いな~。
……あ、写真撮ろうかな?」
「!……ダ、ダメッ!
写真撮るなら、もっといいの作るからっ!!」
私が慌てて首を横に振ると、バロンが意地悪そうにニヤッと笑った。
「言ったね!
また作ってくれる、って?」
「あっ……!」
ハ、ハメられたぁ~!?
思惑に気付いて真っ赤になる私に、彼は「ベッ!」と舌を出して得意気な表情。
ーーもう、止まらない。
そんな姿も、悔しいくらい好き。